2021 年 35 巻 3 号 p. 248-255
目的:COVID-19流行期の小児喘息への影響を調査した.
対象と方法:保護者を対象に流行前後の喘息の状況や風邪の頻度などについてインターネット調査した.
結果:820人から回答を得た.COVID-19罹患児はなかった.流行期の喘息の状態は,例年の同時期より「良かった」,「変わらなかった」で87.2%を占めたが「悪かった」が8.5%にみられた.風邪をひく頻度は例年の同時期より「減った」,「変わらなかった」で93.3%を占めたが「増えた」が4.3%あった.多変量解析で喘息悪化のオッズ比は流行前1年間の週1回以上の喘鳴で有意に高く(オッズ比5.88,95%信頼区間2.54-13.60),長期管理薬使用で有意に低値であった(オッズ比0.45,95%信頼区間0.26-0.77).風邪をひく頻度の増加は受動喫煙,流行前1年間の週1回以上の喘鳴で有意に高かった.
結論:COVID-19流行期の喘息悪化は少なかったが,同時期の喘息悪化と風邪をひく頻度の増加に関連する因子を見いだした.