食物アレルギー患者には現在安全性が保障されている有効な治療法がない.アナフィラキシー既往がある例では症状が出現する不安があり,摂取が進まずに社会生活の制限がなされている.このような重症食物アレルギー児,養育者には,QOLの保持を目的としたプログラム(アレルギー教室,サマーキャンプ)を行うことが有効であるが,本邦ではQOLを測定する質問紙が開発されていない.そこで,食物アレルギー児の評価と病状の変化時に使用でき,治療群間の比較,またQOLの保持を目的としたプログラムの評価に使用できる食物アレルギー児自身が回答する自身の疾患特異的QOL尺度,養育者が回答する児の尺度,養育者自身の尺度開発を開始した.
小児アレルギー領域では治療有効性判定に使用できる本邦で開発されたQOL質問紙が少ないため,患者視点からの治療効果判定が脆弱な状況がある.日頃診療を行っている医療者が患者のQOLを判定する尺度を開発することが,患者が選択するテーラーメードな食物アレルギー診療につながるであろう.