日本小児アレルギー学会誌
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シンポジウム4:アレルギー疾患とQOL~子どもと家族を温かく支えるために~
小児食物アレルギー疾患特異的QOL尺度の開発
本村 知華子
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ジャーナル 認証あり

2022 年 36 巻 1 号 p. 35-40

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抄録

食物アレルギー患者には現在安全性が保障されている有効な治療法がない.アナフィラキシー既往がある例では症状が出現する不安があり,摂取が進まずに社会生活の制限がなされている.このような重症食物アレルギー児,養育者には,QOLの保持を目的としたプログラム(アレルギー教室,サマーキャンプ)を行うことが有効であるが,本邦ではQOLを測定する質問紙が開発されていない.そこで,食物アレルギー児の評価と病状の変化時に使用でき,治療群間の比較,またQOLの保持を目的としたプログラムの評価に使用できる食物アレルギー児自身が回答する自身の疾患特異的QOL尺度,養育者が回答する児の尺度,養育者自身の尺度開発を開始した.

小児アレルギー領域では治療有効性判定に使用できる本邦で開発されたQOL質問紙が少ないため,患者視点からの治療効果判定が脆弱な状況がある.日頃診療を行っている医療者が患者のQOLを判定する尺度を開発することが,患者が選択するテーラーメードな食物アレルギー診療につながるであろう.

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© 2022 日本小児アレルギー学会
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