日本小児アレルギー学会誌
Online ISSN : 1882-2738
Print ISSN : 0914-2649
ISSN-L : 0914-2649
総説
アレルゲンGRPによるスギ花粉症と果実アレルギー
飯塚 友菜相沢 智康
著者情報
ジャーナル 認証あり

2022 年 36 巻 2 号 p. 157-162

詳細
抄録

スギ花粉症は日本で非常に有病率の高いアレルギー性疾患の1つである.スギ花粉には複数の原因アレルゲンが含まれるが,ジベレリン調節タンパク質(gibberellin-regulated protein, GRP)はその1つである.GRPは植物に広く保存されているタンパク質で,モモ果実から同定されたPru p 7を初めとして,果実のアレルゲンとして主に口腔症状,一部で全身症状のアレルギーを引き起こすことが報告されている.

我々は最近,ヒノキ科花粉症患者の果実アレルギーの原因の1つとして,GRPに属するアレルゲンであるセイヨウイトスギ花粉由来のCup s 7,スギ花粉由来のCry j 7による花粉―食物アレルギー症候群,pollen-food allergy syndrome(PFAS)の発症があげられることを報告した.

本稿では現在までのGRPのPFASを含めたアレルゲン研究と,タンパク質科学的な視点からの特徴,性質との関連性について概説する.

著者関連情報
© 2022 日本小児アレルギー学会
前の記事 次の記事
feedback
Top