2023 年 37 巻 1 号 p. 105-112
【背景及び目的】保育所における食物アレルギー(FA)対応の変化を比較する.【方法】2021年8月に滋賀県内の全認可保育所を対象に質問紙式調査を行ない,2013年に実施した同一地域・同一手法の調査結果と比較した.カイ二乗検定でP<0.05を有意差ありとした.【結果】2021年は261施設(全体の74.6%,対象施設の全児童30,047名)が解析対象となった.2013年の結果と比べて,厚生労働省作成による生活管理指導表を用いている施設の割合や,アドレナリン自己注射液(エピペンⓇ)所有児童在籍施設の割合は有意に増加しており,エピペンⓇ預かり施設の割合も増加していた.過去1年間の誘発症状経験施設の割合は有意に減少したが,グレード2以上の誘発症状経験施設の割合には有意差がなかった.【結論】エピペンⓇの普及が広がっており,FA児に対する対応は改善傾向にあると考えられる.一方で,誘発症状の経験施設の割合は減少していたが重症誘発症状の経験施設の割合は変化がなく,重症例への対策強化の必要性が示唆された.