本シンポジウムでは,アトピー性皮膚炎(AD)のリスクファクター・増悪因子としての食物に注目して考察を行った.食物アレルギー(FA)とADの関係性については,従来乳児期ADの発症要因として食物が重視されていたが,最近ではむしろADのFAリスク因子としての役割が重視されるようになり,ADの治療として特定の食物除去を行なうことの危険性が強調されている.食習慣,栄養(肥満)とADについては,AD児自身や妊娠・授乳中の母の食事パターンとAD発症・増悪,また肥満とADとの関連が指摘されている.その機序として,マウス実験などを通じて,食物繊維由来の短鎖脂肪酸による腸内環境の変化が皮膚の機能向上につながること,脂肪細胞由来のアディポサイトカインが肥満とADの関連に影響していること,肥満を伴うADでは皮膚の炎症反応がTh2型からTh17型に偏位していること,などが示されている.ただ,ADに限らずヒトの健康と食事との関連についてはまだエビデンスレベルが弱く,今後のさらなる進歩が望まれる.