日本小児アレルギー学会誌
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解説:免疫アレルギー疾患における分子標的薬
免疫アレルギー疾患における分子標的薬の基礎知識
森田 英明松本 健治
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2023 年 37 巻 2 号 p. 163-169

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抄録

長年にわたる基礎的,臨床的な病態解明研究の積み重ねと,昨今の医薬品開発技術の進歩により,疾患の病態メカニズムに基づいた治療薬の開発が可能になりつつある.病態形成に関与する特定の分子を標的として開発された治療薬を分子標的薬と呼び,主に細胞外分子(細胞膜上の受容体やサイトカイン等の液性因子等)を標的としたモノクローナル抗体等の高分子化合物と,主に細胞内分子(細胞内のシグナル伝達分子等)を標的としたJAK阻害剤やPDE4阻害剤等の低分子化合物が存在する.分子標的薬は病態に関与する特定の分子を標的にするため,従来の治療では治癒できなかった症例においても,症状の劇的な改善につながることも多い.一方で,アレルギー疾患は均一な疾患ではなく,ヘテロな集団で構成されているため,特定の分子標的薬が奏効する患者と,効果を示さない患者も存在する.故に病態メカニズムに基づき疾患を分類し,それぞれのサブグループに最適な治療を選択する,層別化医療を行っていく必要がある.

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© 2023 日本小児アレルギー学会
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