2023 年 37 巻 2 号 p. 156-162
食物蛋白誘発胃腸炎(Food protein-induced enterocolitis syndrome:FPIES)は非IgE依存性食物アレルギーの一病型であり,原因食物を摂取した1~4時間後に皮膚症状や呼吸器症状などのIgE依存性反応を伴わない繰り返す嘔吐で特徴づけられている.2017年の国際コンセンサスガイドライン公開により,世界各国でFPIESに関する報告が増えている.海外におけるFPIESの原因食品は,牛乳・米・魚が多く,鶏卵がそれに続いている.一方,日本ではこの数年で鶏卵,特に卵黄によるFPIESの患者が急激に増加しており,現在では原因食品として最も頻度が高い.このため,鶏卵FPIESの発症年齢,予後などの疫学面では日本を中心に解明が進んでいるが,原因抗原・感作経路・嘔吐の機序・免疫学的機序については不明な点が多い.診断の補助となる検査,安全で信頼性の高い食物経口負荷試験や長期管理の方法も確立されていない.今後これらが明らかにされることで,急増する鶏卵FPIES患者数に歯止めがかかることが期待される.