2025 年 39 巻 1 号 p. 56-61
本シンポジウムでは,現時点での経皮介入によるアレルギー予防法について概説する.入浴は皮膚洗浄については,今まで通りの日本式入浴と洗浄スタイルを継続する.ハイリスクには新生児期から保湿剤を塗布するとアトピー性皮膚炎の発症を抑制することが期待できるが,質の高い保湿剤を選ぶ.また,アトピー性皮膚炎発症を予防できなくとも,発症を遅らせることも食物アレルギー発症リスクが下がる可能性がある.湿疹の治療については,早期介入が重要であり,早期介入でサブクリニカルな炎症もターゲットにした治療を継続し,皮疹をしっかりコントロールできると,鶏卵アレルギー発症リスクを下げることが期待できる.お肌トラブルを放置しないこと,湿疹を保湿剤のみで治療しないことに留意する必要がある.皮膚介入だけで100%予防できるわけではないので,経口介入を含めたほかの介入も併用して予防対策を行う.