経口免疫療法(oral immunotherapy:OIT)は食物アレルギー児における脱感作や持続的無反応を期待できるが,安全性,有効性,治療継続性に課題が残る.本稿では日本と海外のOITの対象選択や実施方法の違いを中心に概説する.
日本では少量からの段階別の食物経口負荷試験(oral food challenge:OFC)をもとにOIT対象者として重症者が適切に選択されるが,海外ではOFC未実施の症例も多く含まれる.
幼児期早期からのOITや抗IgE抗体(オマリズマブ)併用による試みは副反応や治療中断リスクが課題として挙げられ,欧米で承認されたピーナッツOIT製剤であるPalforziaは日本での適応の見込みはなく,安全性や治療継続性に関する課題も未解決である.
国内外で少量を目標量とするOITが実施され,日本では誤食予防を初期の目標としつつ,中等量・日常摂取量への増量,その先に耐性化を最終目標とする.
OITは長期間に渡る治療を前提に患児と保護者への個別化医療と支援体制構築が求められる.
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