鶏卵の主要アレルゲンは卵白に存在するオボアルブミン及びオボムコイドである.これらのタンパク質のアレルゲン性やIgEエピトープはこれまでにも幅広く研究されているが,我われは加熱調理による鶏卵アレルゲンの変化について深く掘り下げた.鶏卵タンパク質は加熱によりアレルゲン性が低下するといわれているが,オボムコイドは熱耐性を有し,加熱卵でもオボムコイドのアレルゲン性は残存している.近年の臨床現場ではベイクドエッグの導入が普及し,加熱卵で症状を誘発する児でもベイクドエッグであれば摂取できる症例が報告されている.一方で,卵ボーロでは,十分に焼成されていたとしてもアレルゲン性は低下していない.これまで鶏卵タンパク質の低アレルゲン化には「変性」が重要だとされてきたが,我われは「溶解性」の低下が重要だと考え,卵白タンパク質の加熱による変化を解析した.本稿では,ベイクドエッグのアレルゲン性の解析から着想を得て,最終的にはゆで卵中のタンパク質の溶解性を解析した内容をまとめた.