2025 年 39 巻 2 号 p. 149-154
臨床研究に興味をお持ちの後輩たちを念頭に私的経験に基づいた研究の進め方を述べた.臨床研究の起点は,臨床現場におけるクリニカル・クエスチョン(CQ)の閃きである.その症例を丁寧に掘り下げて症例報告として論文化する.症例を重ねて当初のCQが強固になったなら症例集積研究を行う.この際,比較対照の設定が重要である.このような観察研究は介入研究の土台となる.CQが確信に近づいたら,ランダム化比較試験にチャレンジしよう.このようなエビデンスの集積が,未来のガイドライン収載,標準治療化につながるのである.一方で,誠実な研究には必ず挫折を伴う.挫折の克服方法についても私見を述べた.倒れても倒れても前を向いて歩き続けて頂きたいと切に願う.