小児気管支喘息治療・管理ガイドライン(Japanese Pediatric Guideline for the Treatment and Management of Asthma,JPGL)は2000年の初版以来,標準的治療や管理の指針を示し,診療レベルの向上に貢献してきた.JPGL2023では,Minds診療ガイドライン作成方法に準拠し,14のclinical questions(CQ)について最新のシステマティックレビューを実施し,診療に即しevidence-based medicineに基づくガイドラインに改訂した.さらにより良いガイドラインの確立に向け,第12章では残された課題を提示した.特に,日本人小児を対象とした質の高いエビデンスの構築は不可欠であり,発症予防戦略,乳幼児喘鳴の病態解明と最適な治療法,および思春期・青年期喘息の長期予後と治療戦略の確立が重要である.また,アレルゲン免疫療法や生物学的製剤,maintenance and reliever therapy療法,高流量鼻カニュラ酸素療法など,新たな治療選択肢の適切な位置づけを明確にする必要がある.さらに,アレルギー疾患対策基本法に基づく標準治療の普及と診療の均てん化,および研究推進体制の整備も引き続き重要な課題である.これらの課題解決に向けて,今後も組織的な取り組みが求められる.