2025 年 39 巻 5 号 p. 423-428
近年,日本では水害,地震などの自然災害が頻発している.アレルギー疾患患者は,災害時の避難所などにおいて特別な配慮が必要な「要配慮者」とされており,これに基づき行政による様々な対策が進められている.しかしながら,実際の運用には多くの課題が山積している.例えば,アレルギー対応食の備蓄は不十分であり,その情報共有や物資配布の方法も確立されていない.被災した患者情報の把握が不十分であること,行政内部署間,行政と支援団体との連携が不十分であることも大きな問題である.患者側の自助努力にも課題が多い.備蓄として推奨される期間に満たない家庭が多く,アレルギー情報を示すツールの準備も進んでいない.医療従事者からは,被災した患者の情報収集の難しさや,アレルギー専門医の不足が指摘されている.我々専門医は,普段から患者の疾患コントロールを良好に保つことはもちろん,自助の啓発,災害時対応の指導,地域の防災体制の把握,関連機関との連携,災害対応マニュアルの作成など災害に備えた準備を平時から行うことが求められる.