2026 年 40 巻 3 号 p. 232-238
症例は,9歳女児.4歳時から湿性咳嗽が持続し,5年間にわたり気管支喘息として吸入ステロイド薬等の加療を受けたが改善しなかった.当院初診時,聴診でsquawksとrhonchiを認め,胸部CTでは下肺野優位に小葉中心性陰影と気管支壁肥厚を認めた.呼気一酸化窒素低値,気道可逆性陰性,喀痰好中球98%であり,気管支喘息は否定的であった.びまん性汎細気管支炎類似の病態を疑い少量クラリスロマイシン療法を開始したところ,速やかに症状と画像所見が消失した.長期経過から最終的に遷延性細菌性気管支炎(protracted bacterial bronchitis,PBB)と診断し,休薬後2年6か月間,再燃を認めていない.後方視的にPBBと診断した本症例では,マクロライドの抗炎症・過分泌抑制作用が好中球性炎症を主体とする病態に奏効したと考えられた.慢性に経過する湿性咳嗽に対し少量マクロライド療法が多用されている本邦では,PBBが存在している可能性がある.また,喘息治療抵抗性の湿性咳嗽ではPBBを念頭に置くことが重要である.