日本小児アレルギー学会誌
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小児気管支喘息における吸入療法服薬指導の現状と問題点
朝倉 俊成野崎 雅子野崎 征支郎生井 良幸太神 和廣
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1997 年 11 巻 4 号 p. 293-298

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抄録

小児気管支喘息息者への定量噴霧式ネブライザー (MDI) の手技指導は, 一般的には医師により行われることが多いが, 当院では1994年より薬剤師も外来および入院患者に行うようにしている. 今回, その服薬指導が実施されているかについて調査した.
当院小児科アレルギー外来に継続通院中の気管支喘息患者37名 (平均年齢10.6±4.5歳: M±SD) を対象に, 面談および郵送によるアンケートを実施した.
回答者の54.1%は吸入を積極的に行っているものの, 吸入のやり忘れは「時々忘れる」を含むとが78.4%にみられ, 昼に忘れやすい傾向があった. 吸入前に「ボンベを振ること」と吸入後の「息こらえ」や「うがい」の励行は60~80%が実施していたが, その実施理由を知っていたのは30~50%であった. スペーサーの利用率は70.3%で, その携帯率は42.3%であった.
今回の調査において, 手技指導の中でも患者の動機付けへの工夫や, コンプライアンス面への患者や家族に対する実践意識を付ける点に力を入れる必要があることが明らかとなった. それには, 操作が簡単で携帯に便利なスペーサーの使用を勧めることと, 操作項目毎にその操作の必要理由を理解してもらうことが大事であると思われた.

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