抄録
アレルギー疾患を有する当院小児患者196例について, 特異IgE抗体測定におけるルミワードの基礎的検討ならびに臨床的有用性を検討した. 基礎検討については, 同時再現性, 日差再現性, 希釈直線性は良好であり, 種々の干渉物質の影響も受けなかった. 最小検出感度は特異IgE抗体0.04IU/ml, 総IgE 0.11IU/mlであった. 有症患者血清145例, 8アレルゲンで858検査でのCAP RASTとの相関性は, 陽性一致率90.3%, 陰性一致率92.8%, 判定一致率91.8%, 相関係数r=0.916と良好であった. 臨床的有用性について, 皮膚テストに比して感度ではやや劣るが, 特異性においては優れた成績を示した. 特異IgE抗体の年齢別出現頻度は, 0歳では卵白, 牛乳以外の食物抗原はすべて陰性であった. 食物抗原は概ね2歳で高値を示し, 6歳で再び低値となった. ネコ, ダニの陽性率は加齢とともに上昇し, 特にダニでは6歳で約70%に達した. 卵白陽性の6歳児9名の0歳時所見は7例が卵白陽性であり, 残り2例中1例の抗体値がルミワードの検出可能範囲 (0.04~0.35IU/ml) にあった. 牛乳は1例が陽性, 2例が検出範囲を示した. ダニはすべて陰性であったが4例が検出範囲であった. 以上より, ルミワードは検出感度が高く, 臨床的にも有用なシステムであると考えられた. また, 特異IgE抗体の0.35IU/ml以下の測定が可能なため, アレルギー疾患の早期診断の可能性も示唆された.