日本小児アレルギー学会誌
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感染を繰り返す難治性小児気管支喘息に対するγ-グロブリン製剤の有用性の検討
椿 俊和坂口 直哉小屋 二六細野 稔彦澤井 清船橋 茂永山 洋子小田嶋 安平正木 拓朗笹本 和広淀井 淳司飯倉 洋治
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1998 年 12 巻 4 号 p. 323-337

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抄録

感染を繰り返す19例の0~7歳の患児に対して, γ-グロブリン大量療法 (400mg/kg/day×5日間) による一般試験を実施した. 試験開始2週間前, 1か月後, 7か月後および2年後の臨床症状を観察した.
7か月までの試験では19例中17例の改善度を評価し, その後最終的に2年までの予後調査が実施できたのは6例であった.
患児の臨床症状, 日常生活動作および治療内容が毎日記録された. 発作回数および日常生活障害点数は最終投与後から低下し, 7か月はさらに低下した. 改善効果は小さいが他の臨床症状も改善した. 治療内容では気管支拡張剤の使用は減少したが, ステロイドおよび抗アレルギー剤の減少は僅かであった. 重症度からみた改善率は7か月後70.6% (12/17) であり, 2年後も50.0% (3/6) を維持していた. 入院回数では試験開始7か月間の1.5回が1.5~2年の6か月間では0.3回に低下した. 臨床症状の改善率は最終投与後58.8% (10/17) であり, 7か月後も76.5% (13/17) であった. 治療内容を考慮した臨床症状の改善率も1か月後64.7% (11/17) であり, 7か月後も82.3% (14/17) であった.
19例中12例が投与開始後数日に, 発熱, 嘔吐, 嘔気または頭痛を訴えた.
肺炎および気管支炎の感染率は投与開始前の94% (16/17) から投与1か月後18% (3/17) に低下し, 7か月まで同程度の感染抑制が続いた.
3歳未満の患児は3歳以上の患児より改善効果が高かった. さらに3歳未満児の中では末梢血好酸球数の高い症例において改善効果が高かった.
長期的な改善効果を及ぼすγ-グロブリンの作用としては本剤のもつ免疫調節作用が考えられた.

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