抄録
気管支喘息 (以下喘息と略す.) の基本病態が気道の慢性炎症性病変を伴う気道過敏性亢進であることが明らかにされ, 治療の基本戦略は気道炎症の抑制と考えられるようになった. このことを基礎に治療が進歩し, 適切な治療を実施すれば気管支喘息小児の大部分は喘息の無い小児と全く同様の活動が保証されるようになった. しかし, 未だに学習空白や行事参加制限など患児の成長発達阻害が少なからず見られ, 時には喘息死も生じている. 病気としての気管支喘息の治療技術の進歩に目を奪われ, 時に喘息小児の成長発達支援という小児科診療本来の目標が軽視される傾向がその一因となっていることに気付く事が少なくない. 喘息の病態理解と治療に大きな変化があった30年間に亘る喘息小児の治療を通して, 患児や家族から教えられた喘息小児の成長発達支援にっいて述べた.