日本小児アレルギー学会誌
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ネブライザーの機種によるクロモグリク酸ナトリウム血漿中濃度の比較
藤高 道子川口 浩史加藤 恭博佐倉 伸夫
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2004 年 18 巻 5 号 p. 566-570

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抄録
健康成人6名を対象に, 従来型超音波式 (NE-U07), 携帯型超音波式 (NE-U14), 加圧式 (ボヤージ) の3機種のネブライザーについて, クロモグリク酸ナトリウム (disodium cromoglycate; DSCG) の血漿中濃度を比較検討し, 各機種における薬剤の肺内到達量の相違を推定した. 吸入後何れの時間でもDSCG平均血漿中濃度はNE-U07で最も高く, ボヤージで最も低く, 吸入終了直後から480分後までの血漿中濃度曲線下面積の平均値は, NE-U07で2197.46min・ng/mlと最も高く, 次いでNE-U14で1170.59min・ng/ml, ボヤージでは441.10min・ng/mlとNE-U07に比べ有意に低かった (p=0.03). 吸入5分後の血漿中濃度が4ng/ml以上でDSCGの予防効果が高いことを既に報告したが, 4ng/ml以上となったのはNE-U07で検討例全例, NE-U14でほぼ半数例であるのに比べ, ボヤージでは1例のみであった. DSCGに関し, 超音波式ネブライザーの方が加圧式よりも薬剤の肺内到達量が多いことが推察され, さらに従来型超音波式では携帯型超音波式以上の肺内到達量が得られる可能性がある.
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