日本小児アレルギー学会誌
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小児気管支喘息患者の死亡例に関する検討
第3報 東京都監察医務院における小児気管支喘息死亡例
松井 猛彦中嶋 健之馬場 実木村 壽子乾 道夫
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1992 年 6 巻 2 号 p. 40-47

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抄録

東京都監察医務院で昭和36年から昭和62年の間に剖検から喘息死と診断された49例につき死体検案書, 剖検記録を検討し以下の結果を得た.
1) 死亡時年齢は幼児期と15歳以上に多い2峰性の傾向があり, 昭和56年以降は学童以上の剖検例が増加傾向にあった. 2) 死亡は9月に多く, 3, 8月にやや少ない傾向があった. 死亡時刻には大きな偏りはなかった. 3) 死亡場所は医療機関は26%に過ぎず, 自宅が61%と過半数を占めていた. 4) 最終発作から死亡までの時間が明らかになった39例では, 15分以内15%, 30分以内36%, 60分以内56%で短時間に死亡した例が多かった. また, 死亡直前になっても発作を周囲にいた人に気付かれていない症例が21%もあった. 5) 剖検所見として, 気管支喘息による所見の他, 主な合併症として心血管系異常 (右室肥大, 肺性心, 両室拡張, 右室拡張, など) 21例 (43%), 脳浮腫・腫脹20例 (41%), 副腎皮質異常 (萎縮, 菲薄, 発育不全など) 11例 (22%), 気管支炎11例 (22%), 低栄養状態, 誤嚥, 心外膜溢血, 心外膜下出血点, 各2例 (4%), 自然気胸, 髄膜炎, 慢性気管支炎, 膵間質出血, 多発奇形, 各1例 (2%) などが認められた.

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