日本小児アレルギー学会誌
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小児気管支喘息10年間の治療の変還と臨床像の変化
盆野 元紀内田 幸憲藤沢 隆夫安田 尚樹井口 光正神谷 齊灰原 クリスチーナ
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1992 年 6 巻 2 号 p. 48-53

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抄録

最近小児喘息の頻度は増加しているといわれている. 一方新たな喘息治療薬が開発され, 喘息の治療方式に大きな変化が見られている. 我々は当科アレルギー外来を受診した喘息児につき10年前と現在の治療法と臨床像を比較分析し, 以下の結果を得た.
1) 初診年齢の高齢化, 陽性抗原数の増加, 胸郭変形の進行が見られた.
2) 減感作療法が減少し, テオフィリン製剤を中心に薬剤を使用する患者数が増加した.
3) 近年重症群では発作点数, 喘息点数は良く改善しており, これはRTCによるものと考えられた.
4) 全症例とも治療により発作点数は良く改善していたが, 改善率に差はなく, 治療点数は近年の方が高かった.
以上より小児喘息は治療が濃厚になったが, 専門病院への受診の遅れが小児喘息を重篤化している可能性も考えられた.

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