日本小児アレルギー学会誌
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6 巻, 2 号
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  • 3・4カ月健康診査児を対象として
    笹本 明義, 斎藤 誠一, 岸田 勝, 内山 宏幸, 松本 広伸, 鈴木 五男, 小屋 二六, 青木 継稔, 沢 節子, 吉村 伸子, 有田 ...
    1992 年 6 巻 2 号 p. 33-39
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    東京都目黒区では, 平成2年度よりアレルギー・マーチを予防することを目的として, 乳児アレルギー健康診査を開始した.
    対象患児は平成2年7月から平成3年6月までの間に3・4カ月健康診査にて碑文谷保健所を来所し, アレルギー一次アンケートに回答した762名の中から選びだした.
    結果は以下の通りであった.
    (1) アレルギー健康診査対象者は102名 (13.4%) であった.
    (2) 対象者は冬が最も多く, 夏減少する傾向にあった (2月: 15名, 8月: 2名).
    (3) 3・4カ月健康診査以前に湿疹治療のために病院を受診した数は252名 (33.1%) で, 小児科が175名 (70.0%) を占めていた.
    (4) 母乳栄養児のアレルギー健康診査対象児は, 人工栄養児と比較して有意に高率であった.
    (5) 家族のアレルギー歴では, 両親のアトピー性皮膚炎のアトピー素因移行率が高率であった.
    (6) 食物では卵白に対するRAST陽性率が最も高率で, prick test との相関も高かった.
  • 第3報 東京都監察医務院における小児気管支喘息死亡例
    松井 猛彦, 中嶋 健之, 馬場 実, 木村 壽子, 乾 道夫
    1992 年 6 巻 2 号 p. 40-47
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    東京都監察医務院で昭和36年から昭和62年の間に剖検から喘息死と診断された49例につき死体検案書, 剖検記録を検討し以下の結果を得た.
    1) 死亡時年齢は幼児期と15歳以上に多い2峰性の傾向があり, 昭和56年以降は学童以上の剖検例が増加傾向にあった. 2) 死亡は9月に多く, 3, 8月にやや少ない傾向があった. 死亡時刻には大きな偏りはなかった. 3) 死亡場所は医療機関は26%に過ぎず, 自宅が61%と過半数を占めていた. 4) 最終発作から死亡までの時間が明らかになった39例では, 15分以内15%, 30分以内36%, 60分以内56%で短時間に死亡した例が多かった. また, 死亡直前になっても発作を周囲にいた人に気付かれていない症例が21%もあった. 5) 剖検所見として, 気管支喘息による所見の他, 主な合併症として心血管系異常 (右室肥大, 肺性心, 両室拡張, 右室拡張, など) 21例 (43%), 脳浮腫・腫脹20例 (41%), 副腎皮質異常 (萎縮, 菲薄, 発育不全など) 11例 (22%), 気管支炎11例 (22%), 低栄養状態, 誤嚥, 心外膜溢血, 心外膜下出血点, 各2例 (4%), 自然気胸, 髄膜炎, 慢性気管支炎, 膵間質出血, 多発奇形, 各1例 (2%) などが認められた.
  • 盆野 元紀, 内田 幸憲, 藤沢 隆夫, 安田 尚樹, 井口 光正, 神谷 齊, 灰原 クリスチーナ
    1992 年 6 巻 2 号 p. 48-53
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    最近小児喘息の頻度は増加しているといわれている. 一方新たな喘息治療薬が開発され, 喘息の治療方式に大きな変化が見られている. 我々は当科アレルギー外来を受診した喘息児につき10年前と現在の治療法と臨床像を比較分析し, 以下の結果を得た.
    1) 初診年齢の高齢化, 陽性抗原数の増加, 胸郭変形の進行が見られた.
    2) 減感作療法が減少し, テオフィリン製剤を中心に薬剤を使用する患者数が増加した.
    3) 近年重症群では発作点数, 喘息点数は良く改善しており, これはRTCによるものと考えられた.
    4) 全症例とも治療により発作点数は良く改善していたが, 改善率に差はなく, 治療点数は近年の方が高かった.
    以上より小児喘息は治療が濃厚になったが, 専門病院への受診の遅れが小児喘息を重篤化している可能性も考えられた.
  • 大塚 武, 内田 啓司, 尾登 誠, 松本 勉, 桑畑 圭子, 田角 恭子, 有田 昌彦
    1992 年 6 巻 2 号 p. 54-61
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    該当食物に対する特異IgE抗体陽性の13人の食物アレルギー児と対照として5人の非アトピー児にそれぞれ21回と5回の経口食物負荷試験を行い, 誘発される症状の有無と血漿ヒスタミンおよびトリプターゼ濃度の推移について検討した. 血漿ヒスタミンおよびトリプターゼ濃度はRIA法により食物負荷後240分まで経時的に測定した.
    その結果, 負荷陽性群のうち即時型の誘発症状を認めた症例において平均血漿ヒスタミン濃度は負荷後120分にピークを示し, 負荷前に比べて負荷後120分と240分に有意な上昇を認めた (P<0.01). 平均血漿トリプターゼ濃度は負荷後240分にピークを示し, 負荷前に比べ負荷後240分に有意な上昇を認めた (P<0.01). なお対照群においては血漿ヒスタミンおよびトリプターゼ濃度の有意な変動を認めなかった.
    今回の結果より, 食物負荷前後での血漿ヒスタミンおよびトリプターゼ濃度の測定は, 食物負荷試験において客観的な指標となる可能性を示唆した.
  • 七条 孝三郎, 杉本 日出雄
    1992 年 6 巻 2 号 p. 62-67
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    アスピリン喘息は, 成人の全喘息の約10%に見られるが, 小児では比較的まれとされている. 当院には, 62名の喘息児が長期入院しているが, うち3名にアスピリン喘息を認める. 1名は問診より明らかであり, 除外療法により著明な発作の改善を認めた. 1名は問診に加え, スルピリンおよびヴェノピリン吸入負荷試験が陽性であったことより診断した. もう1名は, 問診からは明らかではなかったが重症難治性で, ステロイド依存性, かつ血清総IgE値が低値であることよりアスピリン喘息を疑い, スルピリンおよびヴェノピリン吸入負荷試験が陽性であったことより診断した. アスピリン喘息の臨床症状の特徴として, (1) 重症難治性で, ステロイド依存性のことが多い. (2) 血清総IgE値は低値で, 一般アレルゲン皮膚反応は真菌類を除き陰性などがあげられる. 通年性, 難治性の重症気管支喘息児ではアスピリン喘息も考慮して検索をすすめると, 小児科領域でもアスピリン喘息の頻度は増えるのではないかと考えられた.
  • 宮林 容子, 向山 徳子, 馬場 実
    1992 年 6 巻 2 号 p. 68-74
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    喘息患者72例, アレルギー性疾患患者18例, 健常者16例についてオッシレーション法によるアストグラフを用いてメサコリン吸入試験を行い気道過敏性について検討して, 次のような結果を得た.
    1) 初期コンダクタンス (Grs cont) は, 喘息患者は健常者より低値であった.
    2) メサコリン吸入試験の陽性率は重症~軽症喘息, 有症状の“ほば寛解”で高く, 無症状の“寛解”は健常者と差を認めなかった.
    3) 気道感受性 (Dmin) は, 重症程低値で,“寛解”は健常者と差を認めなかった.
    4) Dmin と非発作期間の間に正の相関を認めた.
    5) 気道反応性 (SGrs/Grs cont) は各群間に差を認めなかった.
    以上より気道過敏性の改善には無症状期間の持続が重要であると考えられた.
  • 市川 邦男, 岩崎 栄作, 遠山 歓, 山口 公一, 宮林 容子, 増田 敬, 関根 孝哉, 山浦 美砂, 向山 徳子, 馬場 實
    1992 年 6 巻 2 号 p. 75-81
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    乳幼児におけるテオフィリンクリアランスの発達を明らかにし, アミノフィリン持続点滴療法の維持投与量を検討するために, 満2カ月から満6歳までの乳幼児に対して行われた持続点滴療法につき検討を加えた. 患児684例に対し350例 (51.1%) に持続点滴が施行され, その施行頻度は低年齢児ほど高く, 1歳以下の乳児では72.9%に本療法が行われていた. テオフィリンクリアランスの算出できた161例につき検討すると, 2歳以下ではクリアランスが2歳から6歳以下の児に比較して低下しており, 特に6カ月以下の児では約2分の1 (0.0371/kg/h) であった. また6カ月から1歳以下の児ではクリアランスのばらつきが大きくその発達に個人差があることが示唆された. 10名につき2歳までの個人内クリアランスの変化を検討したところ, 同様に乳児期におけるクリアランスの発達が認められた. 以上の結果に基づきアミノフィリン維持投与量として6カ月以下0.5mg/kg/h, 6カ月から1歳以下0.6mg/kg/h, 1歳から2歳以下0.8mg/kg/h, 2歳から6歳以下0.9mg/kg/hが適当と考えられた.
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