1992 年 6 巻 2 号 p. 54-61
該当食物に対する特異IgE抗体陽性の13人の食物アレルギー児と対照として5人の非アトピー児にそれぞれ21回と5回の経口食物負荷試験を行い, 誘発される症状の有無と血漿ヒスタミンおよびトリプターゼ濃度の推移について検討した. 血漿ヒスタミンおよびトリプターゼ濃度はRIA法により食物負荷後240分まで経時的に測定した.
その結果, 負荷陽性群のうち即時型の誘発症状を認めた症例において平均血漿ヒスタミン濃度は負荷後120分にピークを示し, 負荷前に比べて負荷後120分と240分に有意な上昇を認めた (P<0.01). 平均血漿トリプターゼ濃度は負荷後240分にピークを示し, 負荷前に比べ負荷後240分に有意な上昇を認めた (P<0.01). なお対照群においては血漿ヒスタミンおよびトリプターゼ濃度の有意な変動を認めなかった.
今回の結果より, 食物負荷前後での血漿ヒスタミンおよびトリプターゼ濃度の測定は, 食物負荷試験において客観的な指標となる可能性を示唆した.