日本小児アレルギー学会誌
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アスピリン喘息の3例
七条 孝三郎杉本 日出雄
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1992 年 6 巻 2 号 p. 62-67

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抄録

アスピリン喘息は, 成人の全喘息の約10%に見られるが, 小児では比較的まれとされている. 当院には, 62名の喘息児が長期入院しているが, うち3名にアスピリン喘息を認める. 1名は問診より明らかであり, 除外療法により著明な発作の改善を認めた. 1名は問診に加え, スルピリンおよびヴェノピリン吸入負荷試験が陽性であったことより診断した. もう1名は, 問診からは明らかではなかったが重症難治性で, ステロイド依存性, かつ血清総IgE値が低値であることよりアスピリン喘息を疑い, スルピリンおよびヴェノピリン吸入負荷試験が陽性であったことより診断した. アスピリン喘息の臨床症状の特徴として, (1) 重症難治性で, ステロイド依存性のことが多い. (2) 血清総IgE値は低値で, 一般アレルゲン皮膚反応は真菌類を除き陰性などがあげられる. 通年性, 難治性の重症気管支喘息児ではアスピリン喘息も考慮して検索をすすめると, 小児科領域でもアスピリン喘息の頻度は増えるのではないかと考えられた.

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