日本小児循環器学会雑誌
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川崎病全国調査からみた川崎病疫学の特徴とその変遷
中村 好一屋代 真弓上原 里程
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2012 年 28 巻 3 号 p. 148-156

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抄録

1970年に第1回全国調査が実施されて以来, わが国では21回に渡ってほぼ2年に一度の頻度で川崎病全国調査が実施され, 2011年には第21回調査を実施した. 過去3回(1979年, 1982年, 1986年)以降, 全国規模の流行はないが, 1990年代後半より患者数および罹患率は徐々に上昇し, 2010年の罹患率は1982年の罹患率よりも高かった. 1月に患者が多く, 夏場にも小さな山がみられること, 0歳児後半をピークとしてその後は減少する一峰性の年齢別罹患率を示すこと, などにより, いまだに原因は不明ではあるが, 疫学データは本疾患の発生に感染症が関与していることを示唆している. 一方で親子例や兄弟例の存在からは宿主側の要因の関与も否定できない. 急性期の心障害や発症後1カ月以降の心後遺症の発生頻度は着実に減少している. 全国調査を再解析した研究や別のデータを付加した研究のレビューを行った.

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© 2012 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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