日本小児循環器学会雑誌
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小児の心臓移植
福嶌 教偉
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2014 年 30 巻 4 号 p. 403-414

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抄録
心臓移植は,すでに欧米では末期的心および呼吸不全患者の外科的治療として定着し,外科的治療として確立しつつある.1997年に施行された臓器移植法は,6歳未満の脳死判定基準がないこと,15歳以下の臓器提供の意思が認められないことから,小児は心臓移植を受けるチャンスは極めて低く,多くの小児が海外で心臓移植を受けていた.このような現状を打開するために,改正臓器移植法が2010年7月17日に施行され,脳死臓器提供者の年齢制限がなくなった.その結果,2013年末までに6名の児童(6歳未満1名,10〜16歳3名,15〜17歳2名)の脳死臓器提供があり,6名の児童が国内で心臓移植を受けることができたが,身体の小さな小児や,拘束型心筋症など医学的緊急度2の状態で,心臓移植を受ける必要のある小児は,いまだに海外に一縷の望みをかけて渡航しているのが現状である.
ここでは,わが国の小児心臓移植の現状を紹介するとともに,小児心臓移植の適応,移植後の管理について概説する.
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© 2013 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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