抄録
背景:先天性心疾患術後の肺動脈狭窄に対するバルーン拡大術 balloon dilatation (BD)は,術後肺循環の改善を目指すうえで重要な治療戦略である.最近では,従来よりもカテーテルの追従性が良いnoncompliant balloons(NBs)が開発され,その使用が広まってきている.
目的:術後肺動脈狭窄に対するNBの有効性を,semi-compliant balloons(SBs)と比較し検証する.方法:2007年4月から2013年4月の間に当院でBDを行った術後肺動脈狭窄136症例154病変を対象に,後方視的に検討した.
結果:術後肺動脈狭窄に対するBDの内訳は,SB群70症例78病変,NB群66症例76病変であった.BD後のwaist解除率は,SB群で45%に対しNB群では80%(p < 0.001)と,NB群で有意にwaistを解除し得た.一方,使用されたバルーンサイズの最狭窄部径に対する比率では,SB群で259 ± 6.6%に対しNB群では214.9 ± 6.1%(p < 0.001)と,NB群においてより小さなバルーンサイズ比率で有効な拡大が得られていた.
結論:NBは,SBよりも小さなバルーンサイズ比率でより確実に狭窄を解除し得る.