日本小児循環器学会雑誌
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症例報告
無症候性左心耳瘤の病理組織学的検討
田部 有香安田 謙二中嶋 滋記藤本 欣史山口 清次
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ジャーナル オープンアクセス

2015 年 31 巻 6 号 p. 347-351

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抄録

左心耳瘤(left atrial appendage aneurysm, LAAA)は,1938年にSemansとTaussigにより初めて報告された非常に稀な疾患で,先天性のものの多くは原因不明である.小児期に無症状で発見されると,将来的な不整脈,胸痛,呼吸困難,血栓塞栓症などの合併症予防のために外科的切除を行う.今回我々は,急性気管支炎の際に胸部レントゲン写真で異常を指摘された2歳女児におけるLAAAの症例を経験した.経胸壁エコー,経食道エコー検査を行い,瘤内や心耳内血栓を否定した.また造影CTにて周囲に異常構造がないことを確認した.手術により切除した病理組織において,三層構造は保たれていたが,筋層の菲薄化と粘液性変化がみられた.恒常性を維持させられないほどの組織障害が生じたことが,瘤の原因となりえた可能性が示唆された.

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© 2015 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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