日本小児循環器学会雑誌
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先天性心疾患の外科治療:冠動脈関連の合併症をいかに避けるか
中野 俊秀
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ジャーナル オープンアクセス

2016 年 32 巻 2 号 p. 114-121

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抄録
先天性心疾患の外科治療における周術期の冠動脈関連合併症の原因は手術手技そのものによるものと疾患自体が持つ特性によるものがある.前者は完全大血管転位症や大血管転位型両大血管右室起始症に対する動脈スイッチ手術に代表される.動脈スイッチ手術における安全な冠動脈移植には冠動脈の走行パターンのみならず冠動脈移植方法,また大血管の位置関係や肺動脈の再建方法を総括して考えなければならない.また後者では右室―冠動脈類洞交通を伴うPulmonary atresia-intact ventricular septum(PA-IVS)が最も重要である.術中にいかに冠動脈血流を維持し心筋虚血を防ぐかに重点を置き手術術式と体外循環法を考える必要がある.その他,ファロー四徴症などの疾患にも冠動脈走行異常が少なからず存在することを念頭に置き,術前検査と術中の確認,術式の選択に注意を払う必要がある.
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© 2016 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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