日本小児循環器学会雑誌
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先天性冠動脈疾患
新居 正基
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ジャーナル オープンアクセス

2016 年 32 巻 2 号 p. 95-113

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抄録

先天性冠動脈異常には①冠動脈起始部位と走行形態の異常,②冠動脈開口部の狭窄・閉鎖,③冠動脈血管自体の異常,および④冠動脈終末端の異常の4種類が存在する.起始部位の異常には大動脈基部における異所性開口に加えて,肺動脈や腕頭動脈等,大動脈基部以外の血管からの起始異常も含まれる.これらの異常は常に単独で存在するわけではなく,様々な組み合わせで存在しうる.希少疾患とはいえ小児循環器に携わる医師は十分な知識を持つことが求められ,特に①と②の異常のなかには突然死の原因となる病態が含まれることを銘記しておく必要がある.ただ,これらを安静時心電図で捉えることは困難であり,現在日本で行われている学校心電図検診ではスクリーニングが困難な疾患の一つである.北米においても運動時突然死の原因疾患として心筋症に次いで重要な心構造異常として注目されてきており,スクリーニング方法の模索が始まっている.一方,先天性冠動脈異常は先天性心疾患にも合併しうる.これらのなかには術中・術後経過に大きく関わる病態も存在することから,術前の正確な診断が重要である.先天性冠動脈異常について最新の知見を加えるとともに概説を記した.

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© 2016 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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