日本小児循環器学会雑誌
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肺高血圧症の病態と新規治療をカリウムチャネル制御から探る
早渕 康信
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ジャーナル オープンアクセス

2016 年 32 巻 3 号 p. 189-198

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抄録
肺動脈平滑筋細胞に存在するカリウムチャネルは多彩な種類と機能を有し,多くの生理作用ならびに病態に関与している.肺動脈性肺高血圧症(PAH)においても発症と増悪に深く関与していることが明らかになりつつある.2013年にtwo-pore domainカリウムチャネルの1種であるKCNK3(TASK1)の遺伝子変異がPAHの原因遺伝子であると証明され,第5回肺高血圧国際シンポジウム(ニース国際会議)で追加された.また,PAHでは発症原因にかかわらず,電位依存性カリウムチャネル,特にKCNA5(Kv1.5)の発現低下と活性抑制が認められ,肺動脈収縮と血管リモデリングを促進することが示されている.さらに,平滑筋細胞に認められるカルシウム活性化カリウムチャネルは,形質転換によってBKca(Kca1.1)からIKca(Kca3.1)優位に変化し,平滑筋細胞の遊走の促進,増殖能の亢進,アポトーシスの抑制などに影響を与えている.これら肺血管の収縮とリモデリングへのカリウムチャネルの役割を解明することで,新たな治療戦略が見えてくるものと期待される.
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© 2016 特定非営利活動法人日本小児循環器学会
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