日本小児循環器学会雑誌
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症例報告
ECMO下にCT検査を施行した先天性心疾患小児3例の検討:有用性,安全性,限界について
中島 光一朗黒嵜 健一神崎 歩辻井 信之帆足 孝也鍵崎 康治市川 肇白石 公
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2017 年 33 巻 1 号 p. 69-75

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抄録

小児循環器領域において膜型人工心肺(ECMO)を使用する機会は増加している.そのため,治療方針決定にあたり詳細な解剖や血行動態評価が必要であり,診断手法としてマルチスライスCTの有用性は高い.

今回,ECMO管理下にCTを施行した先天性心疾患の小児3症例を経験した.

症例1:4か月女児.右側相同,右室性単心室,肺動脈狭窄,体肺動脈シャント手術後.シャント閉塞を来し緊急ECMO導入,肺血流再建治療の方針を決定するため造影CT検査を施行した.

症例2:1か月女児.右室性単心室,肺動脈狭窄,肺動脈スリング,気管低形成.呼吸不全となり気管内挿管されたが低酸素血症が改善せず緊急ECMO導入した.肺動脈スリング解除手術のために造影CT検査施行した.

症例3:5歳男児.修正大血管転位,ダブル・スイッチ手術後.間質性肺炎による呼吸不全のためECMO導入した.肺炎治療の効果判定およびECMO離脱方針決定のためECMO下でCT検査を施行した.

いずれも周到な準備と専門スタッフの支援のもとに安全に施行することができ,治療方針の決定に重要な情報を得られた.有用で安全なECMO下CT検査には,検査プロトコールの確立,専門医の確保,日常からの準備が大切である.

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© 2017 特定非営利活動法人日本小児循環器学会
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