2017 年 33 巻 2 号 p. 111-119
12誘導心電図で不整脈が記録されている場合には,まず不整脈の存在を確定する.2 : 1房室伝導が継続している心房粗動や心房頻拍では12誘導を細かく見ることでP波を見つけることが可能になる.またQRS幅の広い頻拍でもP波とQRSの関連をみることで心室内変行伝導なのか心室頻拍なのかを鑑別する.心室性不整脈であればQRS形態からその起源を推測しアブレーション治療の重要な情報となる.また心電図記録中に不整脈がなくても12誘導心電図から不整脈基質を知ることが可能である.不整脈基質に遺伝性不整脈があり,QT延長症候群・QT短縮症候群・Brugada症候群等は12誘導心電図から診断可能だが,カテコラミン誘発多型性心室頻拍の安静時心電図は正常であり病歴と運動負荷心電図が必須である.また器質的心疾患に伴った不整脈(心筋症他)では疾患に応じた心電図異常があり不整脈基質として重要である.