日本小児循環器学会雑誌
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症例報告
成人期に一期的Fontan型手術を行った心尖下大静脈同側の1例
若松 大樹佐戸川 弘之黒澤 博之横山 斉桃井 伸緒青柳 良倫遠藤 起生林 真理子
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2017 年 33 巻 3 号 p. 249-255

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抄録

Fontan型手術の適応は拡大し,条件も低年齢化したが,成人期に拡大可能か不明である.手術未施行の成人例は長期低酸素と容量負荷から低心機能と心拡大を伴うため,心尖下大静脈同側例へのTotal cavo-pulmonary connection(TCPC)手術では,導管ルートに配慮が必要となる.心尖下大静脈同側の成人例に一期的Fontan型手術を施行した.症例は,48歳男性で,小児期に右室性単心室と診断されたがFontan型手術に至らなかった.息切れと動悸から就労困難となった.診断は両大血管右室起始,右室性単心室,肺動脈弁と弁上部狭窄を認めた.精査し手術適応と判断した.手術は,肺動脈形成およびTCPC手術を行った.圧迫回避目的に導管は心尖同側心房内を通した.術後経過は良好で,術後32日目に退院し,退院後3ヶ月で職場に復帰した.成人期単心室症例に再評価を行い,一期的TCPCを施行した.成人期TCPCは有用な術式であるが,適応には慎重な判断を要する.心尖下大静脈同側で心拡大を伴う成人例に心房内ルートは有用であった.

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© 2017 特定非営利活動法人日本小児循環器学会
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