2017 年 33 巻 5 号 p. 385-394
成人先天性心疾患では高頻度に不整脈が出現し,心臓突然死の原因となることがある.先天性心疾患の種類,術式により合併する不整脈の種類が異なり,不整脈の発生には加齢が大きく影響する.先天性心疾患の複雑さや心機能低下の程度により,治療方針が異なってくる.洞不全症候群,完全房室ブロックのいずれでも,徐脈で症候性の場合にはペースメーカ植込みの適応となる.心房粗動,心房細動では抗凝固療法が心原性塞栓症予防のために重要であり,リズムコントロールには様々な抗不整脈薬が用いられ,カテーテルアブレーションも有効である.心室頻拍では薬物治療のみならず,非薬物治療と合わせて対応する必要がある.特に心臓突然死予防においては,植込み型除細動器が治療の中心となり,抗不整脈薬やカテーテルアブレーションは付加的な治療という立ち位置となる.