2020 年 36 巻 2 号 p. 116-120
私の留学時代の恩師Sir Brian Barratt-Boyes(超低体温停止法を開発,ホモグラフトを世界で最初に大動脈弁置換に使った)は良き心臓外科医であると同時にacademic surgeon, innovative surgeonであれと説いた.もう一人の恩師Roger Meeは,LV training, Double switch手術,TGAに対するTrapdoor法など多くの新しい手術法を次々と開発した.2人の偉人の薫陶を受けて育った私は,自分自身も世界に発信する新しい治療法を考えるようになった.1993年に岡山大学に帰り,多くの複雑心奇形症例の手術症例に恵まれ,多くの成功と同時に多くの命を失った.命を失った症例から多くのことを学び,それが新しい手術法,治療法を生み出す原動力になった.
若い人達も学術的で革新的なマインド(mind)をもち,日本発の新しい手術法,治療法の開発をしてもらいたい.