日本小児循環器学会雑誌
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ラット胎仔胸腺欠損,大動脈弓離断,血管輪の胸部断面像
門間 和夫
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2020 年 36 巻 2 号 p. 121-127

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抄録

Bis-diamineはラットに強力なteratogenで高率にヒト染色体22q11欠失症候群類似の先天性心疾患と胸腺欠損を生じるが,作用機序の詳細は不明である.Bis-diamine 200 mgを妊娠9日と10日のラット40匹に胃内注入し,満期21日目に胎仔を全身急速凍結法,凍結ミクロトーム,実体顕微鏡(Wild M400)を用いて0.5 mm毎の胸部横断面を連続写眞で記録した.330胎仔に括弧内の率で次の先天性心疾患が生じた.各種のFallot四徴症(68%),総動脈幹残遺(18%),大動脈弓離断(2%)などである.これらの心疾患には胸腺欠損(70%)乃至低形成(30%),右側大動脈弓,鎖骨下動脈起始異常,血管輪などが合併した.前著ではこれらの胎生期先天性心疾患の生体内断面図を染色体2q11.2欠失症候群の胎児心エコーモデル図譜として提示したが,胸腺低形成,血管輪と大動脈弓離断について紙面の都合で図示不充分であったので,ここに追加提示する.

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