2020 年 36 巻 2 号 p. 133-142
背景:新生児・乳児早期の動脈管開存症(PDA)に対するカテーテル治療の有効性と安全性について検討する.
対象と方法:新生児・乳児早期(生後6か月以下)の症候性PDA25例中,カテーテル治療15例と外科治療10例に関して,臨床経過と合併症に関して後方視的に比較検討した.
結果:日齢115日(6~212),体重4.20 kg (1.62~8.79),肺体血流比3.54 (1.06~8.80),平均肺動脈圧28 mmHg (12~60),PDA径4.3 mm (1.1~8.8)であり2群間差はなかった.カテーテル治療群の使用デバイスはAmplatzer™ Duct Occluder (ADO) 8例,ADO-II 1例,Amplatzer™ Vscular Plug-II (AVP-II) 6例であった.カテーテル治療群では術前リスクの高い症例(人工呼吸管理4例,肺出血3例など)が目立った.カテーテル治療群のうち2例は技術的困難なため断念し外科治療となった.重大合併症はカテーテル治療群4例(デバイス脱落1例,輸血2例,術後肺炎1例)に対して外科治療群3例(乳び胸1例,呼吸不全1例,大動脈縮窄1例)であり,2群間に有意差はなかった.
結語:新生児・乳児早期PDAに対するカテーテル治療は外科治療と遜色ない有効性・安全性であり,高リスクな症例に対しても実施することが可能である.カテーテル治療と外科治療の利点を考慮し慎重な適応選択が望ましい.