日本小児循環器学会雑誌
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症例報告
修正大血管転位症術後遠隔期に二弁置換術と同時に心室再同期療法を導入し有効であった一例
西島 卓矢帯刀 英樹坂本 一郎塩瀬 明
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2020 年 36 巻 3 号 p. 241-246

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抄録

修正大血管転位症の機能的修復術後は右心室が体心室となるため,遠隔期に右心不全,三尖弁閉鎖不全,不整脈などが問題となる.今回,機能的修復術後に,3回目の再開胸手術を施行した1例を経験したので報告する.症例は26歳の女性で,修正大血管転位症に対して3歳時にセントラルシャント手術を経て,10歳時に機能的修復術を施行された.20歳時に左室肺動脈導管再置換術を施行されたが,その後は心不全,不整脈のために入院治療を繰り返していた.今回,大動脈弁および三尖弁閉鎖不全症に対して,大動脈弁および三尖弁置換術を施行した.高度房室ブロックに対して永久ペースメーカー植え込み術後であったが,今回,左心室に心外膜リードを挿入し心室再同期療法を導入した.人工心肺離脱時には大動脈バルーンパンピングを要し,術後も長期のカテコラミン投与を要したが,術後60日目に自宅退院した.術後2年9か月現在,心不全の増悪なく経過している.

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© 2020 特定非営利活動法人日本小児循環器学会
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