2021 年 37 巻 1 号 p. 18-26
背景:小児心臓カテーテル検査・治療において面積線量積/体重比(DAP/BW)は被ばく線量の比較に有用と言われている.年代と技術の変遷による被ばく低減の効果についてDAP/BWを中心に後方視的に検討した.
方法:15歳未満が対象.ASD閉鎖(A群)107例,末梢肺動脈バルーン血管形成(B群)117例,体肺側副血管コイル塞栓(C群)395例,診断(D群)1,918例,カテーテルアブレーション(R群)220例を,2008~2011年を期間①,2012~2016年を期間②,2017~2019年を期間③とし被ばくのデータを比較した.
結果:DAP/BW [μGym2/kg]はA群,R群は③で低く[A群:①; 13.5, ②; 13.5, ③; 9.8, p<0.05, R群:①; 51.6,②; 33.4,③;20.5, p<0.05],C群では同等だった.B群,D群は③で高かった[B群:①; 76.8, ②; 108.5, ③; 117.0, p<0.05, D群:①; 41.0, ②; 45.1, ③; 46.0, p<0.05].
結論:技術の変遷によりA群,R群では被ばく低減効果を認めたが,B群,D群では病変や疾患の複雑化により被ばく線量が増加した.DAP/BWは治療ごとの被ばく線量の把握に重要で,被ばく低減の取り組みによって得られた効果の指標となりうる.