日本小児循環器学会雑誌
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原著
学校心臓検診におけるQT延長スクリーニングを自動計測値で行うための抽出基準値に関する検討
櫨木 大祐塩川 直宏上野 健太郎楠生 亮野村 裕一吉永 正夫
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2021 年 37 巻 1 号 p. 29-34

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抄録

背景:心拍数で補正されたQT時間(QTc)は自動計測のほうがマニュアル計測より長い.学校心臓検診でQT延長をスクリーニングする基準値はマニュアル計測で作成されており,自動計測で使用するとスクリーニング過多となる.

方法: 2009年から2013年に鹿児島市で学校心臓検診を受けた,小1・中1全員の心電図記録を後方視的に解析した.自動計測QTc値がマニュアル抽出基準値を超えた対象でマニュアル計測を行い,実際にマニュアル抽出基準値を超えている対象を抽出した.抽出された対象の自動計測QTc値を参考に基準値を考案した.

結果:対象者は総数54,586名,マニュアル計測対象者は1,233名(2.3%)であった.そのうちマニュアル抽出基準値を超えていたのは52名(0.10%)で,それらの自動計測QTc最低値は男女別にそれぞれ小1が445 msと447 ms,中1が463 msと451 msであった.

結論:学校心臓検診のFridericia補正による自動計測QTc基準値は,学年毎に男女共通でそれぞれ小1で445 ms,中1で450 msが妥当と考えられた.

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