2021 年 37 巻 2 号 p. 133-140
移植後リンパ増殖性疾患(post transplantation lymphoproliferative disease: PTLD)の治療において,リツキシマブの適応は一般的に臨床像および生検結果に基づいて決定する.今回,末梢血のEpstein–Barr(EB)ウイルス感染細胞同定解析に基づき,生検結果が判明するよりも早くリツキシマブの適応があるかを調べられたPTLDの症例を経験した.本症例は2歳男児で,心臓移植の3か月後に発熱・気道症状・下痢症状でPTLDを発症し入院した.入院中に行った末梢血のEBウイルス感染細胞同定解析により,感染細胞がB細胞由来で,リツキシマブの適応があることがわかった.これに基づき,生検結果が判明するより先にリツキシマブを投与開始できた.末梢血のEBウイルス感染細胞同定解析は,生検結果が判明するまで待てないPTLD症例において,リツキシマブの適応があるかを早期に把握する有効な手立てとなる可能性がある.