日本小児循環器学会雑誌
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症例報告
集学的治療により救命できた複数の心外疾患を合併するCat eye syndrome,総肺静脈還流異常症の極低出生体重児(1,452 g)の1例
中山 祐樹岩田 祐輔西森 俊秀桑原 尚志桑原 直樹後藤 浩子面家 健太郎山本 哲也寺澤 厚志増江 達彦加藤 禎洋竹内 敬昌
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2021 年 37 巻 3 号 p. 233-238

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抄録

症例は生後1日の男児.在胎35週6日胎児発育停止のため緊急帝王切開にて出生.出生時体重は1,452 g.総肺静脈還流異常症(Ib型)と高位鎖肛等の心外疾患を認め,緊急搬送.術前精査で左腎無形成と右多嚢胞性異形成腎を認めた.他の診療科と治療計画を立案し,生後1日目に肺静脈閉塞を伴う総肺静脈還流異常症に対し修復手術を行った.術直後から浮腫改善のため,腹膜透析を施行.術後空気嚥下を抑制し腸管拡張を予防するため,深鎮静下で管理した.術後12日目に人工肛門造設術を行い,術後19日目に抜管した.染色体検査でCat eye syndromeと診断した.生後8か月時の心臓カテーテル検査で肺動脈性肺高血圧症と診断し,在宅酸素療法と肺高血圧治療薬を開始した.1歳時に鎖肛根治手術を施行.術後5年経過した現在も,腎機能は維持され経過良好である.他の診療科と綿密に治療計画を立てることで重度先天性心疾患と複数の心外疾患を伴う極低出生体重児を救命することができた.

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© 2021 特定非営利活動法人日本小児循環器学会
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