日本小児循環器学会雑誌
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症例報告
先天性心疾患術後難治性乳び胸に対してリピオドールリンパ管造影が有効であった新生児の一例
坪井 香緒里伊吹 圭二郎山本 真由仲岡 英幸小澤 綾佳芳村 直樹廣野 恵一
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2021 年 37 巻 3 号 p. 227-232

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抄録

乳び胸に対する新しい治療戦略としてinterventional radiology (IVR)の有効性が報告されている.成人例では症例が蓄積されつつあるが,小児,特に新生児領域での報告は稀である.症例は完全大血管転位,心室中隔欠損,右側大動脈弓と日齢1に診断した女児.日齢13に肺動脈絞扼術を施行したが,開胸時に乳び胸水を認めた.術後3日目に経管栄養を開始したところ,術後6日目にドレーンより乳び胸水が大量(170 mL/day)に排泄され,内科的治療を開始したが抵抗性であった.そのため,術後11日目にエコーガイド下で鼠径リンパ節からリピオドールを使用したリンパ管造影(intranodal lymphangiography: IL)を施行した.3日後,乳び胸水は改善した.今回,我々は内科的治療に抵抗性であった術後乳び胸の新生児に対して,ILが治療に有効であった症例を経験した.ILは外科的治療と比較して低侵襲なうえ,高い有効率も期待できる手技であり,今後は小児,新生児領域でも症例の蓄積が必要である.

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