2022 年 38 巻 2 号 p. 87-93
胎児心エコー検査は先天性心疾患の胎児診断と周産期管理方針を決めるうえで不可欠な検査である.胎児の位置や向きは常に変化するためプローブを当てる位置・動かし方は一定でなく,胎児診断のための基本断面を描出するには生後の心エコーと異なるテクニックが必要となる.胎児心エコー検査は主に水平断面スキャンをして心臓と両大血管を評価することが基本であるため,上達するには〈きれいな四腔断面〉〈観察しやすい四腔断面〉を描出するテクニックを習得するとよい.それらテクニックを利用して胎児心臓の〈きれいな基本断面〉を描出できるようになれば,小児循環器科医が持つ知識を利用してプローブの動かし方を少し変えるだけで複雑心奇形の診断も自信をもって行えるようになる.