小児歯科学雑誌
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原著
小児歯科学基礎実習における教育内容の大学間共有化に関する検討
(1)全国29歯科大学・大学歯学部における小児歯科学基礎実習の5項目の実態
林 文子香西 克之内川 喜盛木本 茂成田村 康夫中島 一郎小野 俊朗有田 憲司新谷 誠康福本 敏鈴木 淳司海原 康孝土屋 友幸
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2009 年 47 巻 1 号 p. 24-32

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抄録

全国歯科大学・大学歯学部における小児歯科学基礎実習(臨床前実習)の実態を知る目的から,29歯科大学・大学歯学部を対象にアンケート調査を行った。アンケートの項目は①ラバーダム装着,②保護者へのブラッシング指導,③フッ化物歯面塗布,④予防塡塞,および⑤咬合誘導とした。

ラバーダム装着で対象となっている歯は第一大臼歯などであり,臼歯部を対象としている大学が多かった。一方,上顎乳前歯を対象としている大学もあった。保護者へのブラッシング指導で対象としているのは「3歳」,指導方法は「仕上げ磨き」であり,さらに実習方法は「ロールプレーイング技法」が最も多かった。実習で行われているフッ化物歯面塗布の方法は,「綿球法」,使用しているフッ化物は「フッ化物ゲル」が最も多かった。予防塡塞の対象歯は第一大臼歯が最も多かったが,第二乳臼歯を対象としている大学もあった。咬合誘導において,歯列模型分析を行っているのは17校,側方歯群長の予測を行っている大学は13校であった。能動的咬合誘導は専門性が高いという回答もあるかたわら,セファロ分析を行っている大学もあった。

以上より,各歯科大学・大学歯学部において,基礎実習(臨床前実習)の内容に違いがあることが判った。今回の調査結果は各歯科大学・大学歯学部が自校の実習内容を検討していく上で重要な資料になると考えられる。

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© 2009 日本小児歯科学会
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