小児歯科学雑誌
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47 巻 , 1 号
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総説
  • 向井 美惠
    2009 年 47 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2014/02/28
    ジャーナル フリー
    平成19年6月に歯科系4団体から歯科関係者のための「食育推進宣言」が発信された。この宣言では,食育の推進にあたっては,五感を通じた味わいや寛ぎなどの食べ方を知識と体験を通して育むことが必要で,食べ物と食べ方の知識と体験があって初めて,食が健全な心身の糧となり,豊かな人間性を育むことができる,としている。

    歯科領域が推進する食育の中核をなす「食べ方」は,乳幼児期,学童期に口腔領域の成長に伴って発達する。従来,発育期の口腔保健は主として小児歯科が担当している。そこで小児歯科関係者は,噛みかた,飲み方,味わい方などの「食べ方」」の機能発達期に本人や家庭への「食べ方」を主とした食育推進を担うことが望まれよう。

    食べ方から進める小児期の食育は,従来の母子保健,学校保健などのライフステージでその時期の成長・発育程度に合わせて,五感を育てる咀嚼習慣の育成や味わい方などの食べ方を育てるのが基本で,そのような視点からの食育が望まれている。
原著
  • 増田 理紗, 苅部 洋行, 梅津 糸由子, 荻原 栄和, 岩崎 てるみ
    2009 年 47 巻 1 号 p. 8-15
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2014/02/28
    ジャーナル フリー
    近年,歯科治療ではレーザーによる硬組織切削への活用に関心が向けられているが,乳歯齲蝕治療時の小児患者の心理的評価に関する報告は少ない。そこで,Er:YAGレーザーを用いた乳歯齲蝕治療時の痛みと不快感を評価し,小児患者に対するEr:YAGレーザー使用の有効性について予備的検討を行った。

    日本歯科大学附属病院小児歯科に来院した2〜10歳の患児26名(男児11名,女児15名,平均年齢4.9歳)を対象とし,齲蝕症第二度と診断された乳歯34歯に対してEr:YAGレーザーを用いてコンポジットレジン修復を行った。痛みと不快感の評価には,6段階評尺度(0−5)のフェイススケール(FS)を使用し,処置終了直後に,術者が患児に対してEr:YAGレーザー使用時の痛みと不快感についてFSを用いて質問した。

    その結果,痛み,不快感の平均値はそれぞれ0.7±0.9,0.7±1.0であり,患児はほとんど痛みや不快を感じていなかった。男女児間の比較では,痛みにおいて,女児が男児に比べわずかに高い値を示したが,有意差は認められなかった。処置歯の上下顎間,乳前歯臼歯間の比較では,痛みと不快感に有意差は認められなかった。次回歯科治療時のEr:YAGレーザー使用可否についての質問には81%の患児が「希望する」という回答であった。

    本研究から,小児患者に対するEr:YAGレーザーを用いた乳歯齲蝕治療の有効性が示唆された。
  • 何 陽介, 岡本 佳三, 馬場 篤子, 本川 渉, 松家 茂樹
    2009 年 47 巻 1 号 p. 16-23
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2014/02/28
    ジャーナル フリー
    レーザー照射は硬組織の切削や蒸散が可能であり,臨床においても幅広く使用されている。しかし,レーザー照射における熱的な影響についてのエナメル質の結晶学的な研究は少ないことも事実である。そこで我々はCO2レーザーを出力別に牛歯エナメル粉末へ照射し,併せて加熱した牛歯エナメル粉末をFT-IRならびにエックス線回折を行い,照射出力や温度の影響による結晶学的な検討を行った。その結果,以下の結論を得た。

    1. FT-IRスペクトルから平均上昇温度は1W試験粉では800℃以上,3W試験粉では1000℃近く,5W試験粉では1200℃付近,7W試験粉では1200℃以上まで上昇していることが明らかとなった。さらにフォーカスポイントではそれ以上の温度上昇の可能性が示唆された。

    2. 照射出力3W以上ではHAPが分解され,α-TCPおよびTTCPの生成が確認された。

    3. SEM像において,照射出力3W以下では,試験粉は溶融・焼結体と共に微粒子の散在が確認されたが,5W以上の出力では溶融・焼結体が主に観察され,微粒子はほとんど観察されず全体的に滑らかな像が観察された。
  • 林 文子, 香西 克之, 内川 喜盛, 木本 茂成, 田村 康夫, 中島 一郎, 小野 俊朗, 有田 憲司, 新谷 誠康, 福本 敏, 鈴木 ...
    2009 年 47 巻 1 号 p. 24-32
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2014/02/28
    ジャーナル フリー
    全国歯科大学・大学歯学部における小児歯科学基礎実習(臨床前実習)の実態を知る目的から,29歯科大学・大学歯学部を対象にアンケート調査を行った。アンケートの項目は①ラバーダム装着,②保護者へのブラッシング指導,③フッ化物歯面塗布,④予防塡塞,および⑤咬合誘導とした。

    ラバーダム装着で対象となっている歯は第一大臼歯などであり,臼歯部を対象としている大学が多かった。一方,上顎乳前歯を対象としている大学もあった。保護者へのブラッシング指導で対象としているのは「3歳」,指導方法は「仕上げ磨き」であり,さらに実習方法は「ロールプレーイング技法」が最も多かった。実習で行われているフッ化物歯面塗布の方法は,「綿球法」,使用しているフッ化物は「フッ化物ゲル」が最も多かった。予防塡塞の対象歯は第一大臼歯が最も多かったが,第二乳臼歯を対象としている大学もあった。咬合誘導において,歯列模型分析を行っているのは17校,側方歯群長の予測を行っている大学は13校であった。能動的咬合誘導は専門性が高いという回答もあるかたわら,セファロ分析を行っている大学もあった。

    以上より,各歯科大学・大学歯学部において,基礎実習(臨床前実習)の内容に違いがあることが判った。今回の調査結果は各歯科大学・大学歯学部が自校の実習内容を検討していく上で重要な資料になると考えられる。
  • 海原 康孝, 香西 克之, 内川 喜盛, 木本 茂成, 田村 康夫, 中島 一郎, 小野 俊朗, 有田 憲司, 新谷 誠康, 福本 敏, 鈴 ...
    2009 年 47 巻 1 号 p. 33-40
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2014/02/28
    ジャーナル フリー
    全ての歯学教育機関において,質が高く均質な小児歯科医療を実践できる歯科医師を養成することを目的として,平成18・19年度日本小児歯科学会教育問題検討委員会により,教育ワークショップが開催された。ワークショップは2日間の日程で,29歯科大学・大学歯学部から42名の小児歯科学の教育に関わる教員が参加した。課題として,ラバーダム装着,保護者へのブラッシング指導,フッ化物歯面塗布,予防塡塞および咬合誘導を取り上げた。その結果,以下の有意義な成果を認めた。

    1 .各大学の基礎実習の教育内容に関する有益な情報が得られた。

    2 .課題とした実習項目について,全ての大学で共通の一般目標と到達目標を設定することができた。

    3 .課題とした実習項目について,全ての大学で共通して教育すべき標準的な実習内容を明らかにすることができた。
  • 堀田 博史, 嘉藤 幹夫, 大東 道治
    2009 年 47 巻 1 号 p. 41-50
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2014/02/28
    ジャーナル フリー
    乳歯列期の下顎反対咬合の治療装置として多く使用されているオトガイ帽装置について,最も効果的な牽引方向を検討することを目的とし,小児の乾燥頭蓋から乳歯列期の下顎骨の三次元有限要素法モデルを作成した。牽引方向はオトガイ部から下顎頭方向へ0°,+10°と-10°に設定し,荷重を負荷して下顎乳歯列および下顎骨の形態変化と応力分布を解析した結果により,以下の結論が得られた。

    1. 下顎乳歯列では,下顎頭方向へ0°の牽引が乳切歯部の後方および乳臼歯部の側方への変位量が最も高かった。

    2. 下顎骨では,下顎頭方向へ0°の牽引方向がオトガイ部の後方,下顎角部の側方および下顎角部の下方への変位量が最も高かった。

    3. 下顎骨では,下顎頭方向へ0°の牽引方向が下顎頸部の応力量が最も高かった。

    本研究は,乳歯列期の下顎反対咬合に対するオトガイ帽装置の咬合育成治療に有効利用できることを示唆している。
  • 有限責任中間法人日本小児歯科学会医療委員会, 品川 光春, 田中 光郎, 犬塚 勝昭, 大原 裕, 國本 洋志, 鈴木 広幸, 福本 敏, ...
    2009 年 47 巻 1 号 p. 51-58
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2014/02/28
    ジャーナル フリー
    小児歯科医療の現状と問題点を探るために,日本小児歯科学会会員で,小児歯科専門医956名にアンケート調査を行った。回収された455名の回答によれば,小児歯科専門医の小児歯科医療への現状認識は以下のようであった。

    1. 小児歯科専門医の約70%は小児歯科単独標榜の専門医の必要性を感じているが,現在の経済的な状況からは矯正歯科,一般歯科との併科での診療体制でないと成り立っていかないと考えていた。

    2. 小児歯科専門医の約60%は,小児の歯と口の形態や機能の成長育成のため小児歯科の役割が増加していくと考えていた。

    3. 現在の歯科診療報酬制度は,小児歯科を主体としている診療所にとっては経営的に困難な方向性を示しており,小児歯科専門医は,日本における小児歯科医療の将来に憂慮を感じていた。

    4. 小児歯科専門医の約90%は,患者の来院回数,来院費用の負担軽減の観点から,健康保険で行う歯科治療と自費で行う咬合誘導治療が同日算定できることを望んでいた。
  • 進藤 由紀子
    2009 年 47 巻 1 号 p. 59-72
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2014/02/28
    ジャーナル フリー
    成長発育期の小児の歯列・咬合と口呼吸に関する研究は歯科外来患者を対象としたものが多く,小児一般集団を対象とした研究は見当たらない。そこで平成14〜15年度に小学生を対象として行われた「山梨県咬合育成モデル事業」における実態調査資料から歯列・咬合と口呼吸の関連を分析したところ以下のような結果が得られた。

    1. 「口呼吸」と判定された者の割合は全体で29.0%で,高学年になるに従って減少を示した。「安静時開口」の割合は50.5%であり,学年を通じて多かった。

    2. 「異常嚥下」の割合は全体で29.9%であり,「舌突出癖」の割合は18.9%であった。どちらも低学年ほど増加を示した。

    3. 耳鼻咽喉科検査では「鼻炎」の割合が最も高く全体で18.5%であり,次いで「アレルギー性鼻炎」の割合が高く10.0%であった。

    4. 上下顎切歯の咬合状態のうち「上顎前突」の発現と検査項目の「口呼吸」および「異常嚥下」,「鼻炎」に加え,アンケート質問項目の「咬唇癖」および「歯ぎしり」,「鼻水」,「口呼吸」,「スイミングスクール」との間に有意な関連を認めた。

    5. 検査項目およびアンケート質問項目の「口呼吸」はそれぞれ『口腔習癖の多さ』と『鼻気道閉塞の程度』を表す因子と関連していた。

    以上より成長発育期の小児の歯列・咬合は口腔機能や耳鼻咽喉科疾患などの機能的な環境要因,特に口呼吸と密接に関連していることが示唆され,耳鼻咽喉科との連携が小児の咬合育成を進める上で重要であることが確認された。
  • 平野 克枝, 野中 和明, 福本 敏
    2009 年 47 巻 1 号 p. 73-79
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2014/02/28
    ジャーナル フリー
    1998年〜2006年の9年間に九州大学小児歯科を受診した476名の小児患者について,パノラマエックス線写真とGleiser & Huntの石灰化段階をもとに,第一大臼歯の形成と萌出の左右差の検討を行った。

    第一大臼歯の萌出の左右差は全体の13.2%で認められ,最も差が認められたのは6歳の21.3%であった。また第一大臼歯の形成の左右差は全体の7.4%で認められ,最も差が認められたのは6歳の12.4%であった。一般に,歯の萌出の遅れは形成の遅れによるものと考えられてきたが,実際には歯の形成以外の要因で萌出の遅れが認められる症例が存在することが明らかとなった。

    また,歯胚の咬合平面方向への移動は,上顎第一大臼歯は4歳から5歳にかけて,下顎は3歳から4歳にかけて開始し,下顎第一大臼歯では,7歳でほぼ全ての症例が咬合平面に達するのに対し,上顎では下顎と比較すると1〜2年遅れるとともに,個人差が大きいことが明らかとなった。

    小児歯科臨床においては,全身的または局所的既往が認められない患児においても,第一大臼歯の萌出時期に左右差が認められる症例をしばしば経験する。今回の調査で得られた知見は,このような症例において,どの時期まで経過観察が可能であるかの判断をするための一つの参考資料を提供できたものと考える。
  • 福島 知典
    2009 年 47 巻 1 号 p. 80-86
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2014/02/28
    ジャーナル フリー
    小児歯科臨床において,咬合誘導治療に際しdirect bonding system(DBS)を応用する機会をしばしば経験する。そして,DBSによる治療を行っている患児において,金属ブラケット周囲への歯垢の付着および白斑を認めることがある。そこで,DBSによる金属ブラケット装着が齲蝕誘発の原因になるか否かを知る目的で,装着前および装着後におけるStreptococcus mutansとS.sobrinusの検出比率をブラッシング歯垢を用い比較検討した。また,装着前,装着後における間食(スクロース含有)の頻度も調査した。無齲蝕児でS.mutansが検出された群では,S.mutans比がブラケット装着前に対し装着後3,6,9,12週において有意(p<0.05)に減少し,齲蝕経験児でS.mutansが検出された群では,S.mutans比がブラケット装着前に対し装着後3,6,9週において有意(p<0.05)に減少した。

    また,無齲蝕児でS.mutansが検出された群では,間食回数がブラケット装着前に対し装着後6,9,12週において有意(p<0.05)に減少し,齲蝕経験児でS.mutansが検出された群では,間食回数がブラケット装着前に対し装着後3,6,9週において有意(p<0.05)に減少した。よって,ブラケット装着によって齲蝕リスクファクターを増加させると思われるが,金属ブラケット装着そのものは,必ずしもS.mutansの増加に直結する訳ではないことが示唆された。
  • 舟木 幸葉, 渡邊 淳一, 山岸 敏男, 嶋田 淳, 佐野 正之
    2009 年 47 巻 1 号 p. 87-93
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2014/02/28
    ジャーナル フリー
    あすなろ小児歯科医院では,積極的に外科的手術を行っており,その内容は,主に埋伏過剰歯摘出,埋伏永久歯開窓・牽引,粘液囊胞摘出,歯牙腫摘出,上唇小帯・舌小帯切除等である。今回著者らは,2005年1月から2007年12月までの3年間に,当院を受診し,外科的手術を行った患児120名を対象として,エックス線写真および手術所見により臨床統計的検討を行った。外科的手術を行った患児の男女比は7対5で男児にやや多い傾向がみられた。手術内容別には,埋伏過剰歯摘出が全体の47.5%を占めていた。そこで,埋伏過剰歯摘出のなかでも89.5%と最も多くを占めた,上顎正中部に位置するもののみをさらに詳細に検討した。男女比は5対2で男児に多くみられ,萌出方向は逆生歯が71.0%であった。手術時平均年齢は,7歳0か月であった。さらに,パノラマエックス線写真より,著者らの基準で埋伏過剰歯の深度分類を行った。その結果,鼻腔底から歯槽頂のほぼ中央部に存在するものが半数以上であり,年齢が低いほど,浅い位置にある傾向が認められた。この分類は,摘出術の難易度を判定する一材料として有効であり,過剰歯が比較的浅い位置にある,7歳以下での手術実施の方が,患児への侵襲やその後の障害が少なくなると考えられた。
  • 松根 健介, 大林 克行, 黒瀬 絵里奈, 吉田 明弘, 小林 亮介, 平井 則光, 前田 隆秀
    2009 年 47 巻 1 号 p. 94-100
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2014/02/28
    ジャーナル フリー
    外胚葉異形成症は,無(減)汗症,減毛症,無歯症を3大主徴とする症候群である。低年齢時より歯科的管理を行っている減汗型外胚葉異形成症をもつ4症例(症例3, 4は兄弟),計4人の両親と勉強会およびアンケートを行い,全身的かつ口腔内の問題点の抽出を行った。

    1. 汗腺の減少により発汗が少ないため,耐熱性が低く容易に体温が上昇し,暑いときにスポーツを行うことが難しいことを,再度確認できた。

    2. 両親が抱く顔貌の審美的な不安に対し,インプラント治療等も考慮に入れ,審美ならびに咀嚼・構音機能の回復が図れることを提示し両親の将来への不安は軽減された。

    3. 食事アンケート結果では,食べにくいものに肉類が挙がっている。また,食べ易いものはパン・麺類であり,食べにくいものは,口当たりが悪いものであることから口当たりの良い形状に改善することが必要と考えられた。
  • 桑田 和美, 野々村 ひとみ, 大西 智之, 野々村 榮二
    2009 年 47 巻 1 号 p. 101-110
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2014/02/28
    ジャーナル フリー
    当院に来院した初診時3歳以下の小児238名に対し口腔内診査,アンケート調査を行った。そのうち母乳群114名に対し卒乳時期を6か月ごとのグループに分け,卒乳時期別に上顎乳前歯の齲蝕罹患者率と齲蝕罹患歯率,CAT値,アンケート調査時現在の含糖飲食物の摂取回数などを調べた。さらに,1歳以上で卒乳した群98名については1日の授乳回数,夜間授乳回数などを調べ,比較検討を行った。その結果,以下の結論を得た。

    1. 卒乳時期と齲蝕罹患者率,齲蝕罹患歯率との関連性は,卒乳時期が遅くなるほど齲蝕罹患者率は高い傾向がみられ,さらに齲蝕罹患歯率は有意に高かった。

    2. 卒乳時期と1歳以降の1日の平均授乳回数,平均夜間授乳回数との関連性は,卒乳時期が遅いほど1日の平均授乳回数,平均夜間授乳回数ともに有意に多かった。

    3. 卒乳時期と現在の含糖飲食物の平均摂取回数との関連性は,卒乳時期が遅いほど含糖飲食物の平均摂取回数は有意に多かった。

    4. 卒乳時期が遅いほど,母親の出産年齢が高い者が多く,出生順位も第3子,第4子の割合が多い傾向があった。また,離乳が難しかったと答えた者の割合が多かった。

    すなわち,卒乳の遅い小児はその時期が遅くなるほど齲蝕罹患性が高く,授乳回数,砂糖含有飲料や菓子の摂取回数も増加していた。その傾向は卒乳時期が遅いほど顕著であった。

    以上から,低年齢児の齲蝕の原因は母乳そのものではなく,卒乳の遅れ,授乳回数の多さなどの授乳習慣が間食の頻回摂取につながり,小児の齲蝕罹患性を高めていると思われた。
臨床
  • 重田 浩樹, 岩崎 智憲, 齊藤 一誠, 早崎 治明, 山崎 要一
    2009 年 47 巻 1 号 p. 111-118
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2014/02/28
    ジャーナル フリー
    患児は8歳10か月の女児で,上顎正中埋伏過剰歯の診断と処置依頼を主訴に来院した。エックス線写真所見では,上顎右側中切歯は埋伏しており,上顎左側中切歯の口蓋側と埋伏上顎右側中切歯の鼻側に2歯の埋伏過剰歯が確認された。

    この症例に対してまず,上顎右側中切歯の保存を前提として左側過剰歯を摘出し,その摘出窩から右側過剰歯を明示し,摘出した。その後,上顎固定装置やセクショナルアーチにて牽引誘導を行い,上顎右側中切歯を歯列内に大まかに排列した。また,1年後の転居が決定したため,この期間でマルチブラケットを使用し,良好な歯列咬合状態を達成した。牽引した中切歯や上下顎第3 大臼歯の長期管理を含め永久歯列完成期を見据えた管理を行いたかったが,患児の転居のため,当科への通院が不可能となり,転居先の小児歯科専門医へ紹介することになった。

    本症例は逆生埋伏していた中切歯の牽引処置自体も難易度の高いものであったが,さらに,中切歯の根尖部を損傷することなく,歯髄の生活状態を保ちながら牽引誘導するためには,その深部にある過剰歯をどのような手順と方法で安全に摘出すべきか,慎重な検討と熟達した治療技術が要求された。

    結果として,当科での管理期間内に患児と保護者に満足のいく良好な歯列咬合状態を達成できたが,これと同時に,総合的な口腔育成を進める上で,我々自身も小児歯科医としての成長を実感できた症例であった。
  • 津田 高, 飯澤 二葉子, 三富 智恵, 田口 洋
    2009 年 47 巻 1 号 p. 119-124
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2014/02/28
    ジャーナル フリー
    良性セメント芽細胞腫は,セメント質の増殖を特徴とする比較的稀な歯原性腫瘍である。本腫瘍は臼歯部に多く認められ,前歯部での発生は極めて稀である。今回,著者らは上顎中切歯根尖部に良性セメント芽細胞腫が発生した15歳3か月の女子の1症例を経験した。初診時上顎左側中切歯に淡灰色の変色が認められ,上顎右側中切歯と比較して約1mmの挺出が認められた。デンタルエックス線写真およびコンピューター断層撮影(CT)写真において,根尖部に類円形の境界明瞭で歯根に連続したエックス線不透過像を認めた。根管治療後,歯根端切除を行い根尖部石灰化病変を根尖部と一塊として摘出したところ,病理組織診断は良性セメント芽細胞腫であった。その後再発は認められていない。本症例は若年者であることから原因歯の保存の可否について慎重に治療方針を決定する必要があり,エックス線写真だけではなく,CT写真による検査も重要であると考えられた。
  • 仲井 雪絵, 進賀 知加子, 山中 香織, 瀧村 美穂枝, 下野 勉
    2009 年 47 巻 1 号 p. 125-130
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2014/02/28
    ジャーナル フリー
    小児歯科の臨床現場において顎顔面口腔領域の外傷は珍しくない。特に学童期においては,幼若永久前歯の歯冠破折は少なくない。歯冠破折が露髄を伴う場合の治療法の一つとして部分的生活歯髄切断法(partial pulpotomy)が挙げられ,米国小児歯科学会の診療ガイドラインにもその適応と目的が記載されている。本症例報告は,12歳児の上顎左側中切歯に直径約1mmの露髄を伴う歯冠破折に対し,歯髄保存を最大限期待できる治療法として「部分的生活歯髄切断法」を施術し,5年間の経過を紹介するものである。受傷から受療まで2日経過していたものの,術前の臨床所見として自発痛,冷温水痛,歯の動揺,同歯の歯肉腫脹および歯肉発赤をすべて認めなかった。また,デンタルエックス線検査によると歯根膜腔の拡大はなく,わずかに髄角にかかる歯冠破折を認めた。施術後,5年間という長期にわたり臨床的歯髄症状およびエックス線学的に歯根膜腔の拡大等の所見を全く認めず,良好な結果を得た。

    本治療法の対象歯が幼若永久歯であればなお良好な予後が得られやすいと言われている。本症例は歯根完成歯であったが,治療経過として望ましい結果が得られる程度の活性度を歯髄細胞が有していたと推察される。適応を見極めて早期に部分的生活歯髄切断法を施術できれば,歯髄保存の可能性を高め,さらにminimal interventionの観点から形態的・機能的に歯の構造を維持できるといえる。
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