小児歯科学雑誌
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原著
CO2レーザー照射後のエナメル質の結晶学的検討
何 陽介岡本 佳三馬場 篤子本川 渉松家 茂樹
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2009 年 47 巻 1 号 p. 16-23

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抄録
レーザー照射は硬組織の切削や蒸散が可能であり,臨床においても幅広く使用されている。しかし,レーザー照射における熱的な影響についてのエナメル質の結晶学的な研究は少ないことも事実である。そこで我々はCO2レーザーを出力別に牛歯エナメル粉末へ照射し,併せて加熱した牛歯エナメル粉末をFT-IRならびにエックス線回折を行い,照射出力や温度の影響による結晶学的な検討を行った。その結果,以下の結論を得た。

1. FT-IRスペクトルから平均上昇温度は1W試験粉では800℃以上,3W試験粉では1000℃近く,5W試験粉では1200℃付近,7W試験粉では1200℃以上まで上昇していることが明らかとなった。さらにフォーカスポイントではそれ以上の温度上昇の可能性が示唆された。

2. 照射出力3W以上ではHAPが分解され,α-TCPおよびTTCPの生成が確認された。

3. SEM像において,照射出力3W以下では,試験粉は溶融・焼結体と共に微粒子の散在が確認されたが,5W以上の出力では溶融・焼結体が主に観察され,微粒子はほとんど観察されず全体的に滑らかな像が観察された。
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© 2009 日本小児歯科学会
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