抄録
近年,歯科治療ではレーザーによる硬組織切削への活用に関心が向けられているが,乳歯齲蝕治療時の小児患者の心理的評価に関する報告は少ない。そこで,Er:YAGレーザーを用いた乳歯齲蝕治療時の痛みと不快感を評価し,小児患者に対するEr:YAGレーザー使用の有効性について予備的検討を行った。
日本歯科大学附属病院小児歯科に来院した2〜10歳の患児26名(男児11名,女児15名,平均年齢4.9歳)を対象とし,齲蝕症第二度と診断された乳歯34歯に対してEr:YAGレーザーを用いてコンポジットレジン修復を行った。痛みと不快感の評価には,6段階評尺度(0−5)のフェイススケール(FS)を使用し,処置終了直後に,術者が患児に対してEr:YAGレーザー使用時の痛みと不快感についてFSを用いて質問した。
その結果,痛み,不快感の平均値はそれぞれ0.7±0.9,0.7±1.0であり,患児はほとんど痛みや不快を感じていなかった。男女児間の比較では,痛みにおいて,女児が男児に比べわずかに高い値を示したが,有意差は認められなかった。処置歯の上下顎間,乳前歯臼歯間の比較では,痛みと不快感に有意差は認められなかった。次回歯科治療時のEr:YAGレーザー使用可否についての質問には81%の患児が「希望する」という回答であった。
本研究から,小児患者に対するEr:YAGレーザーを用いた乳歯齲蝕治療の有効性が示唆された。