小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
原著
Direct bonding systemによる金属ブラケット装着児の歯垢中mutans streptococciに関する研究
福島 知典
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 47 巻 1 号 p. 80-86

詳細
抄録

小児歯科臨床において,咬合誘導治療に際しdirect bonding system(DBS)を応用する機会をしばしば経験する。そして,DBSによる治療を行っている患児において,金属ブラケット周囲への歯垢の付着および白斑を認めることがある。そこで,DBSによる金属ブラケット装着が齲蝕誘発の原因になるか否かを知る目的で,装着前および装着後におけるStreptococcus mutansとS.sobrinusの検出比率をブラッシング歯垢を用い比較検討した。また,装着前,装着後における間食(スクロース含有)の頻度も調査した。無齲蝕児でS.mutansが検出された群では,S.mutans比がブラケット装着前に対し装着後3,6,9,12週において有意(p<0.05)に減少し,齲蝕経験児でS.mutansが検出された群では,S.mutans比がブラケット装着前に対し装着後3,6,9週において有意(p<0.05)に減少した。

また,無齲蝕児でS.mutansが検出された群では,間食回数がブラケット装着前に対し装着後6,9,12週において有意(p<0.05)に減少し,齲蝕経験児でS.mutansが検出された群では,間食回数がブラケット装着前に対し装着後3,6,9週において有意(p<0.05)に減少した。よって,ブラケット装着によって齲蝕リスクファクターを増加させると思われるが,金属ブラケット装着そのものは,必ずしもS.mutansの増加に直結する訳ではないことが示唆された。

著者関連情報
© 2009 日本小児歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top